私がガスメーターを好きな理由
〜出会い、そして別れ。ガスメーターとの軌跡〜
「ガスメーター可愛いですよね!」
というと、大抵は
「え?ガスメーターですか?」
と困惑の表情が返ってくる。
かくいう私自身も、生まれてこのかたずっとガスメーターが好きだ、と自覚して生きてきたわけではない。
元々少し寂れた哀愁のある景色や、建物と建物の間の隙間が好きだったこともあり、撮影した写真に写り込んでいることはあった。
しかし、それは写り込んでいただけであって、ガスメーターをメインに撮っているわけではなかった。
今日は私がガスメーターのスナップ写真を撮るようになった理由をお話していきたいと思う。
突然の出会い
2025年1月。私は産休中だった同僚と出張中の友達に会うため、居住地関東を離れ、関西にいた。
滅多に行かない1人旅。
せっかく関西に行くなら、と友人に会う意外の時間についてもゴリゴリに行きたい場所を詰め込みまくった。
目的地まで20-30分くらいなら歩ける。しかしこの時、私は自分が歩く距離の計算を完全に間違えていたのである。
🔹ろじうさぎでモーニング → 豊国神社(徒歩10分) 🔹豊国神社 → 先斗町(徒歩25分) 🔹先斗町 → 花見小路 → 圓徳院(徒歩30分)…
「目的地まで20-30分なら歩ける!」ではない。
ここからさらに知恩院、三条大橋、京都府庁と、目的地に着いてからもほぼ歩いての観光。すなわちずっと歩いている、という完全に破綻しているプランなのだ。
そうとも気づかず、私はルンルンとモーニングを済ませ、豊国神社に向かった。
なんならこの時点で最初に出発したホテルの方向に逆戻りするという設計ミス。
ホテル→モーニング → 豊国神社→ 先斗町
と行ったり来たりをしている間にすでにへとへとになってきていた。
初めて1人で訪れた地でナビと睨めっこしながら行ったり来たり。
あれ、私何やってるんだっけ。
疲れたな。
ふとナビを見るのをやめたそのとき、
いつもそっと見守ってる
ズキューン!!!
少し傾いた駐車禁止を後ろからそっと見守るガスメーター。
な、なんてちょうどいい距離感。
そう、私はガスメーターのフォルムの可愛さだけではなく、そこに居る他の子たちとの絶妙な距離感や哀愁、見つめる目線の切なさや健気さにすっかり惹きつけられてしまったのだ。
そしてじっとガスメーターがいるその景色を見つめていると浮かんてくるタイトル。
ガスメーターに出会うために私は無謀なプランを立てて行ったり来たりしていたのだろうか。
一度ガスメーターのなんとも言えない健気さと可愛さに気づくと、タイトルが浮かび上がってくるようなあらゆる哀愁あるガスメーターに出会えるようになっていた。
向かい合っては話さない仲
私の立てた観光プランは当然途中で力つきたが、ガスメーターの魅力に気づくことができた。それだけがこの旅の救いだった。
そうはいってもガスメーター
ガスメーターは可愛い。しかし、そうはいってもガスメーター。
共感してくれる人は少ないかもしれない。
そんな思いから私の投稿は控えめだった。
Instagramに時々忍ばせる。それが精一杯。
こんなに好きにも関わらず、きっと需要はないだろう。勝手にそう決めつけていたのだ。
そんな私の気持ちを変えてくれた出会いがある。
もっと見たい!
2025年5月。私はとある焚き火イベントにきていた。
持ち寄りのお酒を飲みながら、焚き火を眺め、はじめましての人たちとワイワイ語り合う。
そんな初対面の人同士の場所で、私はなぜかガスメーターについて熱く語っていた。
当時の私は、写真について、特別な場所でなくても特別なカメラじゃなくても、日常のちょっとした景色でも、こんなに素敵な景色が周りに溢れているんだよ。そんなことが伝わったら嬉しいなという思いで、自分のWebsiteを立ち上げていた。
そんなちょっぴり熱い思いの一環で、道でガスメーターに注目したことある?可愛いんだから!みて!!と力説していた。
お話を聞いてくれていた人も、最初は「ガスメーター?可愛いか?」と疑っていたものの、私が写真を見せながら力説しているとだんだん可愛く見えてきたとのこと。
まさか自分以外にも伝わるなんて!!!
私自身がガスメーターの魅力を甘く見ていたのかもしれない。
これは人にも理解してもらえる可愛さだったのだ。
「もっとガスメーターに絞って写真の投稿すればいいのに」
そういってもらえたことで私はやっと吹っ切れた。
ちなみに彼は後日、自分が出会ったガスメーターの写真を送ってくれた。
しかも日を追うごとにどんどん撮り方もうまくなり、よりガスメーターの魅力が伝わる写真になっているのが嬉しい。
ガスメーターへの愛を語ることが、結果として、誰かの日常の景色を特別に変えることにつながったのだ。
Zineフェスとの出会い
私のガスメーター愛、どんどん発信していいんだ!
そう思ってInstagram投稿のガスメーター率を上げていたとき、私はあるイベントの情報に出会う。
Zineフェスである。
名前は聞いたことがあった。しかし自分に関係のあるものとは思っていなかった。
しかし、たまたまついていた朝の情報番組で飛び込んできたその映像は、
「私のためのイベント!」
私にそう確信させるのに十分だった。
思い立ったが吉日
偏愛を作品にして販売できる場所があるなんて!
私は即行参加申し込みをした。
「集めたくなるようなガスメーターのタイトル付きカードを作ろう」
思い立ったら一直線。
私は名刺スクエアサイズのガスメーターカード一本でZineフェスに初参戦を決めた。
いよいよZineフェス本番!
2025年10月。
ブースを設置し、ドキドキのスタート。
「ガスメーターが好きでタイトルつけてます!」
足を止めてくださる方とたくさんお話をする中で気づく。
売れることは嬉しいけれど、こうやって興味を持ってくださる方と話せることが一番たのしい。
「帰りにガスメーター気にして見てみます!」
「あー確かに骨折しているように見えますね笑」
そんなお客さんとの交流を楽しむ中、ただならぬオーラを放っていたお二人が足を止めてくださった。
ハマナカさんとどてらいさんである。
彼らはポッドキャスターだった。
その出会いの一週間後、私は彼らのスタジオにゲストとしてお邪魔することになる
その後、彼らと隣のブースでZineフェスに出展することになるのはまた先のお話。
出会いが消えた日
イカれたガスメーターお姉さんとしてZineフェスへの出展も重ね、
「こんな可愛いガスメーターいました!」
そんな報告をいただけることも増えてきた。
ガスメーターは好きだが、どのガスメーターでも良いわけではない。
この瞬間この場所にいたこの子だから好き。
だからこそ、
「可愛いガスメーターがいた!」
「こんなふうに見えるガスメーターがいた!」
そんな連絡がとても嬉しい。
何より「いた」という時点ですでにあなたもこちら側である。
どこに行ってもいろんなガスメーターに出会える。
私は彼らに出会える自信があった。
しかし。
「あ、ガスメーター!」
そう友人に言われるまで気付けない。
そんな日が訪れたのである。
忙しくないと出会えない?彼らに出会える状態とは
あんなに可愛かったガスメーターが一切目に飛び込んでこない。
言われて気づいて見ても何も感じない。
ショックだった。
その時の私は無職だった。
当たり前に残業になる日々。好きなことをやる時間も充分に取れず、このままこんな生活をずっと続けるのだろうか。一度生活を見直したい。
そう思って転職先も決めず、なんの収入の見込みもないまま仕事を辞めていた。
充分に好きなことをやる時間ができたのに、以前はあんなに輝いていたガスメーターや日常の景色たちから何も感じられなくなってしまった。
どんなに余白が欲しくても、余白しかなくなった時、反転して欲しかった形の輝く余白が消えてしまう。
仕事についての話はまた別の機会にも書くつもりだが、私は自分が頑張っている状態や何かと葛藤している状態であるときにだけ、同じく頑張っているガスメーターに出会えるのだと気づいた。
実際また復職して忙しくなった途端、こんなところにもあんなところにも、無職の時に歩いていた同じ場所ですら、たくさんのガスメーターが健気に頑張っている姿が飛び込んできた。
私がガスメーターを好きな理由
ここまでガスメーターとの出会いや軌跡を綴ってきたが、肝心な「好きな理由」に関しては少ししか触れていない。
私はガスメーターが好きだが、例えば型番やどのフォルムか、などにはあまり興味がなくて、もちろん可愛い率の高い型はあるのだけれど、そういうことよりも「その場所にいるその子」として、周りの景色もありきで見ている。
そこにあるのはガスメーターとその場所のものたちから感じる「距離感」。
私はこの距離感に自分自身の過去の思い出を重ねているのだと思う。
頑張っても見てもらえなかったこと
言いたくても言えなかったこと
頑張ったのに報われなかったこと
本当は見てくれていたこと
本当は触れたかったこと
GASMETER NOSTALGIAの記事では、そんな、ガスメーターを見て重ねた自身の思い出や届かなかった気持ちを綴っていきたいと思っている。







名前から興味が湧いたのでさがして記事を読んでみると、思っていたマニアックさと全く違う方向で殴られた感じがして、新しい世界の扉が開きました🙂↕️🙂↕️
はじめまして。
言葉が合ってるか分かりませんが、すごくマニアックなのに、我が子を語るようなストレートな愛。
そこからの、類が呼ぶ類。いるんですね、頼もしいですね。
全く知らない世界に触れられました、ありがとうございます。
外出したら絶対ガスメーターを見るであろう謎の自信がつきました🐾